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福岡から北アルプスを目指して 3泊4日の縦走 〜準備編〜

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登山を始めて1年と8ヶ月。いつか行きたいと思っていた憧れの北アルプス。ようやくその夢が叶う時が来て、ついにその地を踏むことになりました。

山を始めた頃はまさか北アルプスに行くことになるとも思っていなく、マイペースに福岡近郊の山を登っているだけで満足できるものだと思っていました。だけど、次第に物足りなさを覚えるようになり、3000m級に挑戦したい、皆んなが憧れるあの道を歩きたい、という気持ちが高まるのを感じるようになりました。

昨年の年末から計画を立て始め、今年5月にはルートを決定し、すぐに飛行機のチケットを確保。直通バスの予約や山小屋の予約も最速で済ませ、あとはただひたすらトレーニングを積むのみ。
3000m級への挑戦がいよいよ現実のものとなり、1日また1日とその日が近づくことに期待を膨らませ、動画や本でルートの予習を行い、必要な装備をリストアップして何度も確認し、最終的に3泊4日の装備を28Lのザックに詰め込むという山小屋泊だからこそできる力技を使う。

秋雨前線の影響で天候が不安定になる中、一抹の不安を感じながらも飛行機に乗り込み松本を目指し、いよいよ3泊4日の縦走が幕を開けます。

目次

  1. なぜ北アルプスを目指したのか
  2. 3泊4日のルート
  3. 宿や交通機関などの手配
  4. 持って行った装備
  5. 注意しておくこと
  6. 計画の立て始め
  7. 縦走を終えて

なぜ北アルプスを目指したのか

福岡から松本まで970km離れています。ここまで離れていると計画も一苦労ですが、それを分かっていて何故行こうと思ったのか??これは大きくは3つです。
1つ目はジャンダルムに魅了されたから。
2つ目は3000m峰に挑戦したかったから。
3つ目は多くの登山者が憧れる北アルプスを自分の足で歩いてみたかったから。

全てのスタートはジャンダルムでした。日本の山(岩)であるにもかかわらず何故か横文字の名前がついている。しかもそこに辿り着くまでにはいくつもの難所を乗り越える必要があり、その頂には黒い天使が待っている、という初見では矛盾ばかりしか感じないその山に何故か今までにない魅力を感じ、いつかは北アルプスへ、と思うようになっていきました。

そして標高について、九州しいては西日本にいる限りは2000m超えにすら挑戦することができず、九州本土ではくじゅう連山が最高峰(1791m)になってしまうので、正直物足りなさを感じるようになっていきました。そうなると単純にもっと高い山に登ってみたい、と考えるようになるのは割と自然な流れでした。ちなみに福岡の最高峰は釈迦岳で1229mしかありません。

日本での登山のメッカと言えば北アルプス、という自分の中での決めつけのようなものがあり、一度は歩いてみたいと思っていたので、大きくはこういう理由で北アルプスを目指すに至りました。

今回挑戦してみて分かったけど、やっぱり遠征して山の中で宿泊して、さらに縦走するっていう経験は凄く経験値が溜まりますね。事前の準備も兼ねてようやく登山らしい登山に挑んだという気持ちになりました。

3泊4日のルート

当初は初日に槍ヶ岳まで進み、2泊3日で進行しようとしたものの天候や体調不良などのパフォーマンス低下を考慮した場合にマージンがなさすぎるとアドバイスをもらい、1日目を槍沢ロッジまで進むという3泊4日の行程へと変更しました。(何にしろ初めての遠征、しかも初めての泊まりでの縦走なものでして)こうすることで1日あたりの行動量をセーブし、予期せず体調が悪くなったり、先に進むことが難しくなった場合の下山を余裕を持って行えるように考慮しています。
実は縦走3日目にこの行程を変更する事を余儀なくされますが、それは次回以降の記事に記載しようと思います。

1日目(2022.8.21)

上高地〜徳沢〜横尾〜槍沢ロッジ

2日目(2022.8.22)

槍沢ロッジ〜水俣乗越〜東鎌尾根〜槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳

3日目(2022.8.23)

槍ヶ岳山荘〜大喰岳〜中岳〜南岳〜大キレット〜北穂高岳〜涸沢岳〜穂高岳山荘(後に変更となる)

4日目(2022.8.24)

穂高岳山荘〜奥穂高岳〜ジャンダルム〜奥穂高岳〜吊尾根〜重太郎新道〜岳沢小屋〜上高地

宿や交通機関の手配

今回の縦走で宿泊は全て山小屋と決めていたので、ルート選定後にどの日にどの山小屋に泊まるかを確定させ、予約解禁日の朝イチで予約をとっていきました。ちなみに解禁日は利用予定の1ヶ月前からです。小屋によってはWeb予約ができるので非常に便利。ちなみに今回予定していた山小屋は全てWeb予約可能でした。僕はまだテントを持っていないこと、装備をできるだけ軽くしたかったので山小屋という選択をとりました。あとは単純に山小屋に泊まりたかった。福岡や九州圏内で登る限り山小屋に泊まるなんて考えたこともなかったです。そして予想通り山小屋に泊まるのはめっちゃくちゃ楽しかった。正直かなり興奮してしまいました。甲乙つけ難いけど、今回一番良かったのは3日目の涸沢ヒュッテかなぁ・・・。

交通機関に関しては今回は福岡〜松本間の移動を飛行機に頼りました。
1人で行くので無駄なことに体力を使いたくないため、できるだけ省エネで行ける方法を選びました。
2時間弱で松本へ直通、到着後はバスを使って市街地まで30分程度で着くので非常に楽でした。
福岡からの往復の飛行機代は35000円程度。チケットを売り出してすぐに買えばかなりコスパもいいと言えると思います。ただ、この方法の弱点は登山日の天気が悪くならないことを前提に博打を打たないといけなくなることです。ここだけが本当に難点。ちなみに航空会社はFDAを使わせてもらいました。初めて乗ったけどすごく快適でした。朝イチの便ではパンを出してもらえることがあるそうですが、偶然にもその便にあたりました。コーヒーと合わせて美味しかったです。

持って行った装備

装備はいつも持っていくものをベースに、宿泊することを前提とした数量などを事前にリストアップし、2週間くらいかけて事前に準備していきました。絶対何か忘れると思ったのと心配性な事が影響してここはそれなりに時間をかけて何度もチェックし、クリティカルな忘れ物が出ないように注意しました。
それでもトラブルが起こったのはここだけの話ですが。幸いにもクリティカルではありませんでした。

ちなみに、これいらなかったなというものはありませんでした。行動食が一部余ったけど誤差の範囲。無駄なく計画できたと思います。

装備リスト

注意しておくこと

今回の計画の中でいくつか反省点として注意しておくべき点をいくつか。

1つ目は山小屋がコロナの影響で営業自粛となってしまう可能性や、宿泊地の変更を余儀なくされること。これについては事前に覚悟していましたがやはり起こりました。
2つ目は装備リストを詳細まで洗い出してリスト化しておくこと。
3つ目は熊に遭遇しないよう警戒しておくこと。

山小屋に関しては1泊目の槍沢ロッジが営業自粛のお知らせを出していました。営業再開が8月20日からだったので影響はないだろうと思いそのまま初日を迎えました。が、その次のトラブルが起こり、3日目に宿泊予定だった穂高岳山荘がコロナの影響で営業自粛になったとアナウンスがかかりました。山に入った初日の出来事です。ちょうど徳沢についた頃で、電波もつながりやすいタイミングだったので急いで北穂高岳小屋に連絡して宿を確保しました。(これも後日変更になるとはこの時考えてもいませんでした)

もう一つは装備リストに関してです。これに関しては結構細かく準備を進めたつもりだったんですが、肝心なものを忘れていたり、頭から抜け落ちてしまっていた事があったので皆さん準備の際は是非とも注意してください。

忘れたものとしてはスマホの充電器、これは単純に玄関に忘れてしまいました。当日の準備だったのでまだ仕方ないとも言えます。現地調達しました。
もう1つはアクションカメラをヘルメットに装着するためのアタッチメント。アクションカメラを忘れないことに意識を持って行かれすぎて忘れてしまいました。幸いにもザックに取り付けるためのアタッチメントは持って行っていたのでそれで凌ぎました。
最後にジェットボイル用のガス缶です。これは準備はしていたものの、飛行機に持ち込めないのを完全に忘れていて、未使用品をいきなり捨てざるを得ない状況になってしまいました。これが一番キツかったかもしれない・・・
ちなみに、松本でジェットボイルのガスを調達することは可能です。しかし、南松本駅まで移動してそこから数キロ離れた石井スポーツまで行く必要があるため正直ちょっと面倒です。僕は気合いで買いに行きましたが小雨が降る中、翌日からの本番を控える前に何故こんなに歩かされるのか???という葛藤と戦いながら歩きました。結果無事にゲットしましたが、帰る時にまた松本空港で捨てると考えるとちょっと凹みました。山の中ではしっかり活躍してくれました。

計画の立て始め

そして肝心の計画の立て始めですが、先に書いた通り昨年の年末くらいから動き始めました。
当初は西穂〜奥穂を縦走してジャンダルムに登ることにしか興味がなかったのでそこだけ歩くつもりにしていましたが、友人から大キレットは?槍ヶ岳は?涸沢は?みたいな感じで色々と質問されるうちに他のルートに興味が出てくるようになり、その時からようやく真剣に地図とにらめっこを始めるようになります。

そんな中、槍ヶ岳を見ているとやはりあのかっこいい姿にどんどん魅力を感じるようになっていき、西穂〜奥穂を縦走し、槍が近づいてくるのを感じた時にそのまま下山できるのか?という事を考えるようになっていきます。そうすると今度は大キレットも行きたい、という風にどんどん行きたいところが増えてきて、結果今回立てた3泊4日の縦走になっていきました。

なぜ上高地から最初に槍を目指そうと思ったかはもう思い出せないけど、最後にジャンダルムで締めたかったんだと思います。

実際にルート選定するにあたり、難所としてよく耳にするのは、大キレット、ジャンダルムの2つです。その2つは動画もよくアップされているし、目にする機会も多い。なのでその他に難しいルートがないか、というのをググったり動画で検索したりしながら事前に調査しました。結果として今回は通らなかったけど、北穂〜奥穂間の方が大キレットよりよっぽど油断ならない、という意見も目にしました。

そんな風に自分のレベルでちゃんと通過できるか、事故を起こさない冷静さで無事1日の行動を終えられそうか、という事に注意しながら予定を立てていきました。
ちなみに今回東鎌尾根を通過しました。少し難しい、と言われることもあるようですが普通に岩場の歩行ができれば何の問題もないように感じました。3連梯子を下る時だけしっかり注意できればあとは綺麗な景色を見ながらサクッと通過して槍ヶ岳到着だと思います。

計画を立てた順番

  1. 1〜2月:ルート選定と山小屋選定
  2. 2〜3月:松本までの交通機関決定
  3. 5月:松本での宿泊先
  4. 5月:飛行機の予約
  5. 5〜6月:装備の確認
  6. 7月:山小屋の予約・松本〜上高地のバス予約
  7. 8月:食糧の決定

という順番で立てて大体半年くらいかけてゆっくりと行いました。食糧だけは直前まで色々考えてたのでギリギリまで引っ張っています。ルート選定のみ先に済ませてしまい、交通機関や宿泊先の決定に関しては予約開始日などに合わせて行った感じです。ルートに関しては山小屋の確定や縦走にかける日数の関係があり、縦走計画の要なので一番最初に済ませています。と言っても行きたいルートはほとんど決まっていたし、泊まる山小屋もほとんど決めていたので、正直そこまで時間はかからなかったと思います。

一番の難関だと思っていた飛行機の予約もハイシーズンを微妙にずらした影響かスムーズにとれたし、山小屋もWeb予約を使ったおかげで何の問題もなく取れました。バスの予約もWeb予約できたこともあり、全部楽ちんでした。

ちなみにそれぞれこんな感じです。全部WebでOKでした。

縦走を終えて

詳しいことは今後の記事で書きますが、今回縦走をやってよかったと思っています。憧れの北アルプスに行けた事、福岡にいると見れない景色に感動したこと、日帰りの山行では考えないことを考えられた事、1人で行くので色んな事態を予測して山に入った事、今までにない経験を積む事ができました。あと単純に行って楽しかった。帰ってきたくなかったほどです。

松本市内を散策したのも楽しかったし、空港の近くをぶらぶら歩いたのも楽しかった。地元のラーメン屋に行ったのも楽しかったし、山に人がたくさんいるのも凄くよかった。何といっても山に入りたくて、登れる人たちが集まっているという実感があったのも凄く充実した瞬間でした。色んな人たちと話させてもらったけどそれも楽しかったし、もう全てが楽しかった。登山をしない人にとっては3日目の計画変更はただのトラブルにしか見えないはずだけどそれですら楽しかった。これはあとで記事として書きます。

北アルプスも一般登山道であれば問題なく歩けることが分かったし、次回はリベンジで大キレットとジャンダルムに挑戦するつもりです。運次第だから何とも言えないけど是非とも晴れて、気持ちよく歩かせてください。

このあと、縦走関連の記事を投稿していくのでお楽しみに。

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